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全映協フォーラム2004
2004年11月11日(木)14:00-18:00
会場:石川県立音楽堂 邦楽ホール


開会と来賓の挨拶に続いて、提言ビデオ「2012―地域から映像革命―」(こちらは来場者にDVDとしても配布されました)上映。そしてシンポジウムのあとは、東京大学(国際・産業共同研究センター長)安田浩氏による特別講演と、全映協グランプリ2004表彰式が行われました。

シンポジウム 「地域から映像革命、デジタルコンテンツで変わる日本」

◎パネリスト
広美郁郎氏……経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業(メディアコンテンツ)課長
奈良俊哉氏……総務省情報通信政策局情報通信政策課コンテンツ流通促進室長
菊川人吾氏……石川県商工労働部産業政策課長
細井浩一氏……立命館大学政策科学部教授
田邊雅章氏……全国地域映像団体協議会事務局長/(株)ナック情報センター代表取締役

◎コーディネーター
清水計宏氏……(有)清水メディア戦略研究所 代表取締役社長/メディア評論家

《清水氏》
最初にこれまでのエポック・メイキングな出来事として、とりあえず四つを挙げてみたい。 まずは1992年の、PC(パーソナル・コンピュータ)の普及。 次に1996年の、インターネットの普及と携帯電話サービスのスタート。 そして1999年、携帯電話にITがくっ付いたこと。 そして今年、2004年にブロードバンドがひととおり行き渡ることによって、ハード/ソフトだけでないサービス勝負の時代へ突入したこと。 このような流れのなかで今後、コンテンツの役割が本格的に重要になってくるだろう。

《奈良氏》
総務省として取り組んでいるものに、例えば「EduMart」の実証実験(つまり、教育用コンテンツのプラットフォーム事業)がある。 それと、「地域メディアコンテンツ研究会」の関係でいえば、(社)デジタルメディア協会の AMD AWARDに昨年から「リージョナル賞」が設けられ、熊本の「山江村民テレビ」が受賞。 また2010年を目標にした、u-Japan(ユビキタスネット・ジャパン)構想もある。
《広実氏》
一般に、先進国化に伴って労働時間が短縮。したがって自由時間の消費に向けた産業にいま、注目が集まりつつある。 イチロー/松井現象が、コンテンツの世界にも存在するということ(映画「リング」や「呪怨」の監督がハリウッドでも撮り、日本的感性が世界で意外とウケている)。 あるいは岩井俊二監督「ラブレター」がアジアでヒットし、海外から日本(北海道小樽市)への観光客が増えているということ 。「ポケモン」の経済波及効果もまた然り。経団連のなかに「エンターテイメント・コンテンツ産業部会」が出来たのが昨年8月。 今年の東京国際映画祭に連動した「東京国際フィルム&コンテンツマーケット」整備や、日本版“バイ・ドール制度”の徹底など今後ますます、文化を産業化することによって(即ち、文化にいわば“利益という油”を注ぐことによって)経済活性化を図る動きが加速されるだろう。 歌舞伎がこの10年で、政府の支援なしでも自立して回ってゆける産業になったことを憶えておきたい。
《菊川氏》
江戸時代の加賀藩五代藩主・前田綱紀にあやかったデジタルアーカイブ事業「石川新情報書府」も、来年度から第三期に入る。 1995〜1998年の第一期は、県がテーマを指定してのアーカイブ作り。 1999〜2004年の第二期は自由テーマ/提案公募型とし、著作権問題も含めたコンテンツ整備と品質アップに努めた。 その間、2002年には第一回の地域デジタルアーカイブ全国大会を開催、また2003年の MCN 2003 in Las Vegas では沖縄県の「Wonder沖縄」とともに「石川新情報書府」が日本を代表する地域文化デジタルアーカイブ・プロジェクトとして、海外に初めて本格的に紹介された。 そして来年度からの第三期には、ソフトパワーの産業創出や、他産業との融合のほか、文化資産(の集積)をもう少し“物語化”できる人材育成なども構想中。
《細井氏》
地域文化デジタルアーカイブの制作に関して、おそらく三つのパターンがある。 地域主導モデルと、地域コンソーシアム・モデル、そして国家プロジェクト・モデル。 最初の例として、たとえば立命館大学アート・リサーチ・センターのデジタルアーカイブ事業(モーション・キャプチャーによる、動きのある芸能のアーカイブなど)。 二つめの例としては、たとえば岐阜の「河川環境楽園」。 産官の3セクによる運営……官は河川事業の延長として、産の(株)セガは商業施設やゲームセンター事業の延長として。 ドリームキャスト用コンテンツを地域コンテンツとして(木曽川の魚の固有種をつくって)再編集し、レストラン「フィッシュ・オン・チップス」で提供など。 最後の国家プロジェクト・モデルとしては「Wonder沖縄」など。 また、いまアメリカ西海岸ではスターバックスで音楽(データ)が買える。 即ち、コンテンツが店の差別化要素になりつつあるということ。
《田邊氏》
映像プロダクションの多くが中小企業であり、長い間にしみついた受注体質をこれからは変えていく必要があるだろう。 また、コンテンツマーケットで感じた当惑(?)としては、日本の伝統工芸への海外からの引きの強さを挙げたい。 直接的な取引への不慣れを払拭して、これからは自前のコンテンツ(商品)を作ってゆけたらと思う。 日本版バイ・ドール制度に注目しながら、自分たちのポテンシャルをもっともっと発揮してゆけたらと思う。

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《広実氏》
よく「いくら良い作品を作っても、見せる場がない」「出口がない」と言われる。 そこで経産省としてはデジタルシネマの普及や、「デジタル de《みんなのムービー》」プロジェクトを進めている。

《清水氏》
アーティストの育成には、とにかくステージをこなさせること(最初はたとえ小さくとも、あるいは仲間内だけでも可)。 プロデューサーやディレクターの養成も同じで、必要なのは場数。

《奈良氏》
携帯端末とデジタルコンテンツの連携がもっと進むのではないか。 例えば災害時、ある基地局内の携帯端末にのみ詳しい情報が配信されるとか。

《菊川氏》
「ソフトパワー産業」というのは要するに消費者産業、つまり“消費者サイドから”の発想重視ということではないだろうか。

《細井氏》
アート云々だけではなく、限られた期間に、限られた予算で、質の高いものをきっちり作るという教育がやはり必要だろう。 日本的なコンテンツ・プロデューサー・マインドの育成が。

《田邊氏》
若者には、あるテーマを与えて制作させるのが良いのではないか(テーマがないと、頭が痛くなるようなものを平気で作る)。 それと受け皿の問題。 地域の大学と映像プロダクションの密な連携がもっと、あっていい。

《清水氏》
制作環境は一般化しても、やはり時間軸をもつメディア(音楽や映像など)にはプロの創作力が必要。 カメラの撮り方、照明の当て方など、ひとつひとつの“技”の本質が一般に、まだまだ浸透していない。 Wantsを持っている若者たちに本当のプロの仕事を教え、その力によってビジネスを拡大してゆくというような方向性に期待したい。


■ 全映協(全国地域映像団体協議会) http://www.zeneikyo.jp/
【雑感】

ちょっと早めに着いて、のぞいた「金沢21世紀美術館」の印象とそれから、改装中の金沢駅(大屋根)東広場と、この全映協フォーラム2004の様子。 初めて(じつは)訪れた金沢の街のとても落ち着いた雰囲気の一方で、いま完全に未来へ向けて物事が、動き出している感じがしました。

(文責:清水麗軌)

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